2003年08月30日


マイカヌーを手作りで 東京の男性 休日に帰省

 マイカヌーを製作するため、東京から吾川郡伊野町に休みごとに通う男性がいる。土佐市出身で練馬区在住の団体職員、田所太郎さん(40)。昨年10月から、地元のカヌーインストラクター、三浦博史さん(36)の指導を受けながら作業し、これまでに工程のほぼ半分を終えた。「年内には世界で一つ、自分だけのカヌーを完成させたい」と意気込んでいる。

 田所さんがカヌーに興味を持ったきっかけは、昨年本紙が企画した連載「仁淀川」。仁淀川に魅せられて同町柳瀬に移り住んだ三浦さんの記事に興味を持ち、昨夏、三浦さんのカヌースクールの門をたたいた。

 高校卒業まで仁淀川沿いで暮らした田所さんは「都会で暮らす中、故郷の自然への思い入れは強まる一方。で、実際にカヌーをやってみて、川と一体になれる魅力にとりつかれました」。

 その際、三浦さんが柳瀬でカヌー工房を開いていることを知り、「せっかくなら」と自分で作ることに。三浦さんにとっても、記念すべき第1号の“生徒”となった。

 製作しているのは、長さ約4メートル、重さ約25キロの木製カナディアンカヌー。型板沿いに細長い杉板(幅1・7センチ、厚さ6ミリ)を張り合わせ、表面を加工する。完成までには延べ30日前後を要するという。

 田所さんは、まとまった休暇がとれるごとに帰高し、この8月も盆休みを利用して約1週間滞在。一番神経を使うという艇の曲線部も何とかクリアし、「カヌーらしくなってきた。工程が進むにつれて、作業が面白くなります」。作業の合間には、川下りなども楽しんでいる。

 「完成した瞬間を想像して、今からドキドキしています。進水式には東京の友人をたくさん呼びたいですね」と田所さん。三浦さんも「ウッドカヌーは木目が美しく、やはり味がある。素晴らしい財産になると思います」と見守っている。

 【写真】カヌー製作に取り組む田所さん=左=と指導する三浦さん=右(伊野町柳瀬)





上記記事については、高知新聞社の著作物であり、仁淀川ネット上に限って
掲載し、かつ著作物使用料を支払うことを条件に、平成16年8月6日付で
高知新聞社より使用許諾を頂いております。したがって他に転載することを
固く禁止します。(管理人)

トップページ