高知新聞 2004年01月17日 |
文化審議会(高階秀爾会長)は16日、高岡郡日高村の松岡家住宅や吾川郡吾川村の久喜橋など本県の21件(6町村の9カ所)をはじめ、計149件を登録有形文化財とするよう小野清子文部科学相臨時代理に答申した。文化庁は4月末にも答申通り登録する予定で、これで近代建築物の保護を目的とする登録有形文化財は4046件(1689カ所)となる。 県関係で答申されたのは、山崎家住宅蔵と石垣(土佐郡鏡村)▽山中家住宅主屋(同郡本川村)▽桑瀬神社本殿(同村)▽西田家住宅蔵(吾川郡池川町)▽橋本家住宅石垣および塀(同町)▽善法寺本堂(同町)▽久喜橋▽高岩橋(同郡吾北村)▽松岡家住宅の主屋など12件―の計9カ所21件。 山崎家住宅蔵は木造2階建て切り妻造りで、外壁上部は土佐漆喰(しっくい)仕上げ。石垣は江戸末期の状況を残した農家建築。 山中家住宅主屋は大正、昭和初期の様式が見られる旅館建築。玄関の漆喰の鏝絵(こてえ)が見どころ。桑瀬神社は鳳凰(ほうおう)などの彩色彫刻を施した社殿。 西田家住宅蔵は大正6年建築で、二段の水切り瓦が美しい土蔵。橋本家住宅の塀は貝や七宝の模様。善法寺は藩政期からの建築特徴を残した瓦葺(かわらぶき)寺院。 久喜橋は県内で最古級の沈下橋。橋の中央に大岩を橋げたとして利用しており、アーチ形が珍しい。高岩橋は昭和初期の鉄筋コンクリート橋として貴重。 松岡家は明治23年創業の造り酒屋で、広い敷地に酒造部分、生活空間、研究のための離れ、蔵などが残る。 登録有形文化財は、建築後50年を経過した建造物を文化財として保護する制度。平成9年に始まり、県内でも登録が増加。14年度に11市町村で物件の掘り起こし事業を行ったことが今回の結果につながった。これで県内の登録は49カ所148件となる。 県文化財保護審議委員の溝渕博彦・高知工業高教諭は「市町村によって建物の造り方に少しずつ違いもある。それら古い物件に対して価値を持つ必要がある」と話す。 【写真上】仁淀川に架かる沈下橋の久喜橋。現在も生活道として利用されている(吾川村相能) 【写真下】旧造り酒屋の施設群が残る松岡家住宅。高台に立地し堂々とした景観(日高村本郷) |