高知新聞

2004年05月31日


水源地の棚田守ろう 仁淀川下流住民が田植え

 仁淀川下流の住民有志が29、30の両日、吾川郡伊野町成山地区で耕作放棄された棚田を借りて田植えをした。農業体験を楽しみながら水源かん養機能のある中山間の環境を守ろうという取り組み。週末ごとに出向いて作業を続け、秋には収穫祭も予定している。

 成山地区は同町中心部から車で半時間ほどかかる中山間の集落。世帯数20余りと過疎、高齢化が進み、耕作が放棄される棚田が増えている。

 こうした状況の中、地域おこしグループ「こうち元気者交流会」の中嶋健造さん(42)=同町天王北4丁目=らが「下流の発展があるのは上流域のおかげ。楽しみながらコメを作ることで、中山間の棚田、環境保全に貢献できれば」と発案。昨年の試行を経て、今年は趣旨に賛同してくれた約30人で2区画、計約10アールを借りて稲作に取り組むことになった。

 参加したのは同交流会のメンバーのほか、「仁淀川高知取水」で恩恵を受ける高知市水道局の職員、環境に配慮した農業に取り組む市民グループら。泊まり込みで、慣れない作業に苦戦しながら「いい気分転換になる」と心地よい汗を流した。

 メンバーらは主に週末に出向いて作業を続け、日常の簡単な仕事は地元の人に委ねる。「環境に負担をかけず、あまり手間暇もかけない農法」がモットーで、「出来は二の次。秋には盛大に収穫祭を」と中嶋さん。

 田植えに参加した地権者の一人、高橋安恵さん(75)は「昨年から一人で作るのがしんどくなり、耕作をやめていた。田が荒れるのを見るのは忍びなかったのでありがたく、こうして地域がにぎわうのはうれしい」と喜んでいた。

 【写真】棚田再生を目指し、田植えに汗を流す参加者ら(伊野町成山)




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