高知新聞 朝刊ヘッドライン・ニュース 2005年04月13日 |
国の特別天然記念物、オオサンショウウオの生息調査をしていた香美郡野市町の県立のいち動物公園は12日、高岡郡越知町で体長約20センチの幼体を発見したと発表した。これまで四国内で発見されたオオサンショウウオは成体ばかりで、幼体の確認は初めて。同園は「四国でも自然繁殖している可能性が極めて高いことを示す貴重な発見」としている。 オオサンショウウオは体長1・3メートル前後にもなる世界最大級の両生類で、日本の固有種。岐阜県以西の本州、九州の一部が生息域とされ、昭和27年に国の特別天然記念物に指定された。 県内では28件の発見例があるものの、明らかに県外から持ち込まれたケースも。四国内では本格的な生息調査は行われておらず、産卵や幼体など繁殖を裏付ける証拠も未確認で、生息域とは断定されていなかった。 同園は過去の発見例などから、越知町の仁淀川支流・坂折川を14年度から3年間調査。その結果、15年7月以降、体長約90センチの雄を計3回確認。さらに昨年7月14日、近くの川底に仕掛けたわなで体長約20センチ、体重60グラムの幼体1匹を発見した。 幼体の特徴である羽根状のえらが残っていたことや体長から、生後約3―4年とみられる。同園は「幼体は発見自体が極めて困難で、別の場所から持ち込まれたとは現実的に考えにくい。付近での繁殖の可能性が極めて高い」としている。 ただ、卵や巣穴は確認できなかったことから、さらに坂折川で継続調査する予定。絹田俊和園長は「オオサンショウウオの生態は未知の部分が多い。今回の発見は県内の生息地を探る大きな手掛かりになる」としている。 【写真説明】越知町で発見された体長約20センチのオオサンショウウオの幼体(県立のいち動物公園提供) |